研究課題/領域番号 |
16530055
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山本 弘 神戸大学, 法学研究科, 教授 (20143349)
|
研究分担者 |
中西 正 神戸大学, 法学研究科, 教授 (10198145)
畑 瑞穂 神戸大学, 法学研究科, 教授 (00218471)
|
キーワード | 株主総会決議の代替許可 / 営業譲渡 / 関係人集会 / 関係人委員会 / 代理委員 / 並行倒産 / クロス・ファイリング |
研究概要 |
研究代表者山本弘は、平成18年7月に刊行された福永有利監修『詳解民事再生法-理論と実務の交錯』の第3説第7款「営業等の譲渡」、第5説第3款「再生計画案の条項(2)-株式会社の特則」を執筆した。前者では、民事再生法が再生手続開始を申し立てる株式会社の自主性、究極的にはその会社の支配株主の自主性に委ねられている手続であることに照らし、この支配株主の意思決定権限の剥奪を意味する再生債務者会社の営業譲渡についての株主総会特別決議に代わる裁判所の許可には債務超過のほか「再生債務者の事業の再生のために必要であること」が要求されていること、後者では、平成16年改正後の民事再生法では、従前の株式資本の100%減資と第三者割り当て等による増資を内容とする再生計画案の作成が許容されることとなったが、この計画案の提出が再生債務者会社に委ねられていることに照らし、再生債務者の自主性、具体的には再生債務者会社の支配株主の意思決定権の尊重という民事再生法の基本理念は変わっていないことを明らかにした。 研究分担者中西正は、平成18年9月に刊行した共著書『倒産法概説』(弘文堂)の第4章「会社更生法」および第4章「国際倒産手続」を執筆した。第4章では、会社更生手続における関係人集会、関係人委員会、代理委員について説明を行っている。関係人集会は更生計画案に対する賛否の意思決定機関であるが、更生会社の規模によっては、極めて多数の株主、債権者、更生担保権者が関与し、これらの者が一堂に会して効果的に議論を行うことは難しいため、関係人委員会を設置して利害関係人の意見を集約し、更生計画案策定前にこれを管財人による更生計画案策定に反映させることが望ましいことを論じた。また、第5章では、国際的な並行倒産について、外国管財人と内国管財人がそれぞれ自国倒産手続に参加する債権者をその授権なくして代理して相互に債権届出をするクロス・ファイリング制度が存在することを論じた。
|