平成17年には会社法の成立があり、会計参与の制度が導入されたほか、中小企業に関する会計基準の統一化、さらにはリレーションシップバンキングのさらなる強化がなされた。今年度は、特にこれらの実効性の検証について検討を行った。 中小企業会計基準の公表ならびに会計参与制度の導入は、本研究開始時点では想定されていなかったことであり、むしろ英国法の検討を踏まえての立法論を展開する予定であった。ところがわが国の制度がいち早く動き出したことから、中小企業に適合した会計制度はどうあるべきかについて実務的な検討を広く行った。 前年度に調査・研究した英国法制度についてはその整理を進めているところであるが、上記のような事情から、まずはわが国の制度を整理した後に、さらに示唆を与えられるべきところとして英国の制度を紹介することにする。 また前年度の調査で得られた英国のカンパニーハウスにおける情報の一元管理のあり方が、わが国の会社情報開示の制度を検討するに当たって示唆に富むことが理解できた。そして前年度では、会社登記所制度をわが国でも構藻するべきではないか、との方向性が認識できた。本年度の研究により、このことは新しい会社法制度の下ではより説得力をもって主張することができるとの確信を得ることができた。 以上のような成果を踏まえ、最終年度となった本年度は、起業社会といわれる現代に対応した中小企業法制ならびに会計政策について、新しい会社法の下でどうあるべきかについて提唱することができた。
|