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2005 年度 実績報告書

株式会社・有限会社法制における「資本制度及び資本概念」の現代的意義に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 16530062
研究機関早稲田大学

研究代表者

尾崎 安央  早稲田大学, 法学学術院, 教授 (30139498)

キーワード株主有限責任 / 会社債権者保護 / 資本精度 / 剰余金区分原則 / 剰余金分配規制 / SLIM / EU第2指令 / 資本金
研究概要

株主有限責任制が認められている株式会社法制度において、会社債権者保護は最重要施策とされてきた。そして、日本の会社法制においては、その債権者保護手段として、貸借対照表方式に基づく配当規制が商法制定当初から変わることなく採られてきたところである。その中心に位置するのが資本三原則に代表される資本制度であり、資本概念であった。本研究は、その会社法上の資本制度について淵源を辿ることからスタートした。ヨーロッパ会社法制における倒産予防法制とのかかわりなど、いくつかの点が確認された。一方、新たに制定された会社法においては配当規制における資本の意義は相対的に低下したが、資本制度の母法ともいうべきヨーロッパでは資本制度に変わるべき施策が模索されている段階である。本研究の最終段階になって、「会社法における債権者保護」と題する立法担当官の論説が旬刊商事法務に掲載されたが、会社法における債権者保護の実質が重要であるという基本的問題意識は本研究と共通することが多いものの、その主張には同調しえない部分が少なくなく、たとえば私見では、資本維持による企業の健全性保護策にもある程度の実効性があるのではないかと考えている。とはいえ、資本制度だけで会社債権者が保護されるわけではないのもその通りである。本研究では、会社債権者保護の観点から資本制度を見つめなおし、特によく言及される不法行為債権者の保護のあり方を資本制度との関係で検討した。たしかに株式会社が加害者となる場合だけを特に問題にすることが合理的かに疑問があるにしても、有限責任制のゆえにリスクをとることが容易である株式会社が不特定の人間に損害を加える可能性は否定できず、そのような有限責任の対価という観点から、資本あるいはそれに代わる財産充実策を模索する必要性は高いと考える。資本制度の限界を意識しつつ、その代替策の模索が今求められているのである。

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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