研究課題/領域番号 |
16530069
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
濱田 純一 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (20114613)
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研究分担者 |
右崎 正博 獨協大学, 法学部, 教授 (10112492)
服部 孝章 立教大学, 社会学部, 教授 (80138627)
山口 いつ子 東京大学, 大学院情報学環, 助教授 (00262139)
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キーワード | ソフトロー / マスメディア / 人権救済 / 表現の自由 / 報道の自由 / 名誉 / プライバシー |
研究概要 |
研究の最終年度である本年度においては、研究計画中未調査であった韓国の状況について調査を行うとともに、研究全体のとりまとめにあたっての内容評価・検証のために、この分野での実務の蓄積を最も多く有しているイギリスにおいて、プレス苦情処理委員会やロンドン大学のスタッフと意見交換を行った。また、メディア判例のデータベース構築もあわせて継続した。この3年間にわたる研究において、マスメディアによる人権侵害の救済システムがソフトロー的な性格をもち、それによって適切に機能している部分と限界が明らかになり、また、ソフトローとしての機能する条件についてもいくつかの軸が見えてきた。すなわち、まず第一に、英独韓各国において、苦情処理機関が行った仲裁や裁定の措置が、報道機関によって一般によく遵守されていることである。この背景には規制立法に対する警戒もあるが、報道機関が自己規律に対する意識が明確にあることの反映でもあり、それがこの分野でのソフトローを機能させる条件となっていると見ることが出来る。第二は、苦情処理機関において適用されるルールには、法規制と重なる内容と、法では規制されていない内容の双方が含まれていることである。これは、後者の観点から言えば、法規制よりも柔軟に幅広い調整をソフトローが行いうることを意味する。第三に、この前者の観点からすれば、ソフトローは一見リダンダントに見えるが、内容は同じであっても、例えば迅速な処理や軽微な費用など、執行のコストや効果において独自の意味をソフトローが持ちうることがある。これらの検討において、マスメディアによる人権侵害の救済システムを素材として、ソフトローが成立・機能しうる条件、またソフトローが一般の法に比して有する固有の意義の一端が示され、人権侵害の救済システムの研究とともに、ソフトローの研究に資する成果が得られたと考える。
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