研究概要 |
本研究課題は日台間の経済交渉・政治活動に携わった起業家・政治家・準政府機関を研究の対象とし、これまでの調査史料を一層活用するとともに、聞き取り調査・現地文献調査の成果を駆使して戦後における日本・台湾・中国大陸間のトライアングル関係を実証的に解明することにしている。2年目の平成17年度の研究は現地調査と研究成果の公開を中心に次の通り展開していた。 第一に、高雄と台北において姉妹校のご協力を得て日台民間交流の関係団体(例えば高雄日本人学校)に対して聞き取り調査を実施し、民間の経済文化交流の歴史と実態を把握することができた。 第二に、日本国内においては最近話題になった「中江メモ」(1972年椎名特使訪台の際のトップ会談記録)について中江要介元外務省アジア局長からお話を詳細に聞き出すことが成功した。しかし、予定していた財団法人交流協会役員等へのインタビューは取材される側の都合により延期されてしまった。 第三に、過去2年間の研究成果を基に研究報告書の執筆を開始し、その一部を"The Rise of China and the Taiwan Lobbyists in Japan"として、2005年11月にVirginiaで開催された国際シンポジウム"The International and Domestic Implications of the Rise of China"(Global Forum of Chinese Political ScientistsとOld Dominion University主催)にて報告した。同時期に、"Views the East Asian Community from Asia as a whole"というテーマで、American University主催の小型シンポジウム"Changing East Asia : China, Japan, Korea, and the United States"にて報告した。 なお、これまでの研究成果の一部は、中文著書『戦後中日関係中的外交与政治』(上海師範大学Postdoctoral Fellowship Report)のなかにも反映されている。
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