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2005 年度 研究成果報告書概要

トクヴィルとデモクラシーの二つのモデル〜米仏政治文化の比較思想史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16530089
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 政治学
研究機関早稲田大学

研究代表者

松本 礼二  早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30013022)

研究分担者 吉野 孝  早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (00158487)
川岸 令和  早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (10224742)
谷澤 正嗣  早稲田大学, 政治経済学術院, 助教授 (20267454)
古矢 旬  北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90091488)
中野 勝郎  法政大学, 法学部, 教授 (70212090)
研究期間 (年度) 2004 – 2005
キーワードデモクラシー / トクヴィル / アメリカ / フランス / 自由主義 / 共和主義 / 反米主義 / 戦争
研究概要

本研究の目的は、トクヴィルの政治理論に照らしてフランスとアメリカという近代デモクラシーの二つのモデルを比較し、両国の歴史的発展の中に二つのモデルの対立と相互影響関係の諸相を検証することにある。個別の論点として特に詳しく検討されたのは、トクヴィル以後のフランス人のアメリカ観、20世紀における反米主義の興隆、米仏両国の現代政治哲学におけるトクヴィリアン・モーメントの検出などである。
2年間の研究を通じて確認された主な知見を以下に列挙する。
(1)米仏友好関係はアメリカ独立革命時以来の長い歴史を有するが、20世紀に合衆国がヨーロッパに本格的に関与し、超大国に成り上がったことはフランス国民の反発を招き、とりわけ、冷戦はフランス知識人の反米主義を育てることとなった。
(2)冷戦の終結とソ連社会主義の崩壊は社会主義に対する自由民主主義の勝利を明らかにしたが、アメリカの覇権の下に進むグローバライゼーションは、アメリカ・モデルの世界化をもたらしたわけではなく、それへの種々の反発を生み、ヨーロッパとアメリカの距離を広げ、フランス・モデルの再生をもたらした。
(3)こうした世界の状況の変容はトクヴィルのデモクラシー論の読み直しを要請している。宗教勢力の政治的影響力の増大、格差と不平等の拡大、「社会資本」の減衰と公共生活の縮小といった近年のアメリカに際立つ傾向は、トクヴィルのアメリカ観の再考を促している。
(4)フランスに近年著しいトクヴィル復興は、アングロ=サクソン社会に範をとった彼のフランス政治文化批判がフランスの世論にようやく受け入れられたことを示す。しかしトクヴィルのアメリカ批判も今日の歴史的文脈において新たな光を当てられている。今日の米国でトクヴィルが共和主義ないしコミュニテリアンの文脈で語られるのに対し、フランスでは共和主義の自由主義的修正に貢献しているといえよう。
(5)トクヴィルが一九世紀の歴史状況を背景に指摘したフランス・デモクラシーの問題点や危険の多くは、今日のフランス社会にとってそれほどの脅威ではない。逆にそうした危険から免れていると彼がみた米国についてこそ、今日では深刻な問題となっている。戦争や軍事専制、政府の強大化はその著しい例である。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (9件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 民主主義は戦争をしないか〜トクヴィルの戦争論・軍隊論の視点から2005

    • 著者名/発表者名
      松本 礼二
    • 雑誌名

      政治思想研究 5

      ページ: 1-15

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] トクヴィル生誕200年とデモクラシ-の現在〜国際シンポジウウム「アメリカとフランス、二つのデモクラシ-」2005

    • 著者名/発表者名
      松本 礼二
    • 雑誌名

      思想 979

      ページ: 71-84

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] 合衆国憲法修正課程-可変性と安定性の間に2005

    • 著者名/発表者名
      川岸 令和
    • 雑誌名

      『憲法改正問題』(日本評論社)(全国憲法研究会編)

      ページ: 250-253

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Is Democracy Peaceful? Tocqueville on War and the Army2005

    • 著者名/発表者名
      Reiji Matsumoto
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Political Thought No.5

      ページ: 1-15

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [雑誌論文] The Bicentenary of the Birth of A. de Tocqueville and Democracy Today : On the International Conference, "America and France, Two Democracies?"2005

    • 著者名/発表者名
      Reiji Matsumoto
    • 雑誌名

      Shiso No.979

      ページ: 71-84

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [雑誌論文] From Model to Menace : French Intellectuals and the American Civilization2004

    • 著者名/発表者名
      Reiji Matsumoto
    • 雑誌名

      Japanese Journal of American Studies 15

      ページ: 165-185

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] リベラリズムと共和主義的自由の再統合2004

    • 著者名/発表者名
      宇野 重規
    • 雑誌名

      思想 965

      ページ: 84-101

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] From Model to Menace : French Intellectuals and the American Civilization2004

    • 著者名/発表者名
      Reiji Matsumoto
    • 雑誌名

      Japanese Journal of American Studies No.15

      ページ: 165-185

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [雑誌論文] Reintegrating Liberalism and Republican Notion o f Liberty2004

    • 著者名/発表者名
      Shigeki Uno
    • 雑誌名

      Shiso No.965

      ページ: 84-101

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [図書] アメリカのデモクラシ-第一巻、上、下(松本礼二訳)2005

    • 著者名/発表者名
      トクヴィル著
    • 総ページ数
      364.480
    • 出版者
      岩波書店
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [図書] Processes of the Amendment of the U.S. Constitution : Between Changeability and Stability (Kenpo Kaisei Mondai Kenkyu(Constitutional Revision)2005

    • 著者名/発表者名
      Norikazu Kawagishi
    • 総ページ数
      250-253
    • 出版者
      Nihon Hyoronsha
    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [図書] De la democratie en Amerique vol.I(1835)2005

    • 著者名/発表者名
      Alexis de Twievilie (translated by Reiji Matsumoto)
    • 総ページ数
      364, 480
    • 出版者
      Iwanami Shoten
    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 2007-12-13  

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