研究課題
基盤研究(C)
第一に、70年代初頭の米中和解が朝鮮半島に及ぼす影響に関して、それに対する南北朝鮮の対応も射程に入れて、米韓両国の外交文書に対する綿密な分析を通して、米中接近という同盟間対立の変化と米韓同盟関係の変容という同盟内政治との関係の政治力学を抽出したことである。特に、米中和解という国際的な緊張緩和、さらには日中国交正常化という地域的な緊張緩和が、一方で、南北朝鮮間においても南北対話の開始という、朝鮮半島レベルにおける緊張緩和の「配当」をもたらしたにもかかわらず、他方で、南北対話の中断と緊張激化、南北朝鮮の独裁体制の強化という、緊張緩和の「逆流」をもたらした。なぜ、国際的な緊張緩和が朝鮮半島レベルの緊張緩和を持続させず、「逆流」させたのかを、主として、米韓同盟関係、中朝同盟関係の同盟内政治の動揺と関連付けて、米韓の外交文書に対する検討を通して明らかにすることができた。この点については、(1)「朝鮮半島冷戦の展開:グローバル冷戦との「乖離」、同盟内政治との連携」、および、(2)「韓国現代史研究におけるアメリカ国立公文書館所蔵資料の利用価値と限界(韓国語)」(3)「The Dynamics of the Korean Cold War : A Consideration of the Impacts of the US-China Rapprochement on Korea」という3点の論文で明らかにした。特に、(2)の論文は、韓国において、韓国現代史研究者の前で発表する機会にめぐまれたために、韓国現代史研究者との間で、韓国外交史研究の今後の研究動向について意見交換をすることができたのは、大きな収穫であった。また、(3)の論文は、北京において、米中韓3国の研究者の前で発表することができ、それぞれの立場から貴重なコメントを生かすことができた。第二に、こうした朝鮮半島をとりまく国際秩序の変動が日韓関係にどのような影響を及ぼしたのかについても、日米韓の一次史料に基づいて研究を進めた。その結果、日韓関係の変動力学を解明し、その中で70年代初頭における日韓関係の転機についても考察を深めることができた。この成果については、「日韓関係の力学と展望-冷戦期のダイナミズムと脱冷戦期における構造変容」という論文を発表した。
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すべて 雑誌論文 (16件)
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