研究概要 |
国境は、国家の自律的な統治の範囲を空間的に画定し、いわばグローバルな政治空間を分節化することを通じて、国内および国際の秩序維持に寄与するという側面を持つ。逆に、個人や集団の政治的権利は、領域を基盤とする政体によって保障されるものであるがゆえに、帝国の解体といった政治空間の再編は、権利をめぐる対立の発生と武力紛争へのエスカレーションをもたらす危険をはらむものだった。 本研究では、平成17年度において、上記の論理を国内政治と国際政治との共振という枠組みを用いて理論的に定式化(石田淳「国際安全保障の空間的ガヴァナンス」、河野勝編『制度からガヴァナンスへ--社会科学における知の交差』東京大学出版会、2006年、所収)するとともに、アメリカ政治学会2005年度年次大会(ワシントンD.C.)において報告(Atsushi Ishida and Kaoru Ishiguro,"Designing the Internal and External Political Mechanism for Domestic Peace.")を行った。また、「共振する国内・国際政治研究会」は四回の研究会を開催した(各回の報告者は、順に、吉川元氏、六鹿茂夫氏、納家政嗣氏、岡垣知子氏)。さらに、2005年秋に神戸大学において神戸国際政治経済研究会とワークショップを共催し、ゲーム理論の政治・経済分野への応用の可能性を探り、そのほかに、ゲーム理論モデルの構築のための研究会を石田・石黒を中心に若手研究者を交えつつ2回開催し、先行研究の批判的な検討を行った。
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