国内における治者・被治者間の勢力分布を《国際秩序と国内秩序の共振のパラメータ》として捉え、一方で、第一次大戦後の帝国解体、第二次大戦後の脱植民地化、そして冷戦後の冷戦終結といった国際秩序の変動は、《共振のパラメータ》の変化を通じて国内秩序の安定を揺さぶるが、他方で、この《共振のパラメータ》の変化を相殺するために、国内統治の国際的再編を通じて国内秩序の安定を回復する過程において、国際秩序に変動が生じる。本研究の目的は、まさにこの国際秩序の変動がもたらす国内秩序の変動と、国内秩序の変動がもたらす国際秩序の変動という二重の政治動学を理論的に解明することにあったのである。 石田の「国内秩序と国際秩序の《二重の再編》」、そして石黒の「国内紛争後の政治改革への国際関与」は、三年間にわたる本研究の成果をまとまるものである。 今年度は、東京大学において「共振する国内・国際秩序研究会」を三回開催した(各回の報告者・題目は、順に臼杵陽(ゲスト・スピーカー)「内戦としてのパレスチナ/イスラエル紛争--イスラエル総選挙と分離壁をめぐるポリティクス」、石田淳「国際秩序と国内秩序の《二重の再編》」、土佐弘之「グローバルな統治性と分類・序列化する知-権力--フーコーの問題提起を受けて」)。また、平成17年度と同様に、秋に神戸大学において神戸国際政治経済研究会とワークショップを共催し、ゲーム理論の政治・経済分野への応用の可能性を探った。
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