研究概要 |
本研究は,グローバリゼィションの動態を探りながら新たな南北問題の構造を明らかにし,途上国政府の外交態様を解明するなかで、世界公共秩序構築に向けた課題を提示することを目的とする。そのためには,第1に,途上国政府と「グローバルな市民社会」を自認するNGOとの協働関係を分析し,途上国外交の特質を探る。第2に,グローバリゼィションのダイナミズムを明らかにし,新たな南北問題の構図を分析する。第3に,とくに、「食」のグローバル化構造に着目して、多国籍企業をはじめとするアグリビジネスの伸長と「南」の貧困化との連動性を明らかにする。 かくして、世界公共秩序構築をめぐる攻防のなかから、とくにWTO(世界貿易機構)を中心とする世界貿易秩序をめぐる外交交渉体制の変容に接近する、ことを試みている。そのなかでも、BRICsと呼ばれるブラジル,ロシア,インド,中国の連携外交と、NGO(非政府組織)とのかかわりに注目して分析をおこなう。これによって、トランスナショナルな民主化運動が貿易秩序の不平等な構造を是正し,公正な秩序変革の担い手として位置づけられる可能性を提示することができよう。なかでも、オックスファムインターナショナルやWSFの活動を中心に途上国政府への関与の度合いを分析の視野におさめることで、国際関係論の新たな潮流を明らかにすることができるのである。
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