交付申請書に記載した「研究実施計画」では、分析枠組の構築・仮説の導出、研究方法の決定・習得、および実証的データの収集・整理を今年度に行なうこととしていた。今年度の研究実績は、以下の通りである。 1.分析枠組の構築・仮説の導出 まず、同盟に関する理論や、規範とアイデンティティの変化に関する先行研究の文献レビュー調査を行なった。その際、特に集合的アイデンティティの形成に関する因果的メカニズムや政策決定者の社会化プロセスを整理した。その成果を踏まえて、現在、分析枠組の構築・仮説の導出を行なっているところである。 2.研究方法の決定・習得 アイデンティティとは、主観的な自己理解である。よって、個人のアイデンティティを測定するには、内容分析、サーベイなどの実証主義的な方法が使える。ただし、その主観的な自己理解に意味を与えてくれるのは間主観的な構造である。そこで、言説分析などの意味解釈法も必要になってくる。検討した結果、インタビューの他、内容分析(content analysis)と言説分析(discourse analysis)が本研究課題の分析枠組にふさわしいとの結論に至りつつある。現在、コンピュータの利用も含めた内容分析に関する研究技法を習得している。 3.実証的データの収集・整理 分析枠組や研究方法をまだ完全には確定していないことから、実証的データの収集をまだ本格的に開始できていない。来年度の早い時期において、資料の収集・整理を進めることを予定している。
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