研究課題
基盤研究(C)
本年度は、1)ルーマニアにおけるハンガリー少数民族問題の研究と、2)モルドヴァのトランスニストリア問題に及ぼすロシアの影響力、およびそれに対するEUおよびアメリカの戦略について、新たな成果を得た。1.ルーマニアに在住するハンガリー人の思考様式が、1990年代はじめと現在とでは、かなり異なってきていることを発見した。少数民族の権利が以前に比べて大幅に承認されてきているにもかかわらず、また、EUが拡大し、ハンガリー人共同体が国家の壁を越えてシェンゲン協定の枠組みにおいて、自由に成長を遂げることができるにもかかわらず、自治の要求を強めている。それは、一つには、ボスニア紛争やコソヴォ紛争の影響が、ハンガリー共同体にも少なからぬ影響を及ぼしているためであろう。もう一つは、EU拡大は確かにコンディショナリティー効果をもたらしはしたが、地位法に代表されるように、EUは必ずしもナショナリズムの弱体化をもたらすものではないと言うことである。したがって、我々は、国家の壁を乗り越えて連邦制を主張するEUが、なぜナショナリズムの弱体化をもたらすことができないのかについて、さらに研究を深めていく必要がある。2.ロシアのトランスニストリア問題に対する基本政策は、所謂コザック・メモランダムに余すところなく網羅されているように、モルドヴァの対ロシア従属化の恒久化である。これに対し、EUはENP政策を打ち出し、またアメリカは民主主義攻勢を掛けて、旧ソ連邦地域に迫っている。この二つの相反するヴェクトルの衝突こそ、グルジアのバラ革命であり、ウクライナのオレンジ革命であり、コザック・メモランダムをめぐる欧米対ロシアの凄まじい抗争であった。また、ロシアと米欧のWNISに対する政策の根本的な相違が、WNISの親欧米政策を生み出してきていることも、新たに発見できた。
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すべて 雑誌論文 (4件)
Japan and Europe, Partners in Global Governance. (Takako Ueta & Remacle(eds.))(Pie-Peter Lang)
『ロシア・東欧研究』ロシア・東欧学会年報 第32号
ページ: 48-62
国際政治の行方-グローバル化とウェストファリア体制の変容(吉川・加藤編)(ナカニシヤ出版)
ページ: 199-221
外交フォーラム 7月号
ページ: 68-75