研究課題
基盤研究(C)
本研究では、東欧及びバルカン地域の民族問題がなぜそして如何にして発生し、欧州国際社会が同問題に如何に取り組んできたのかを明らかにした。具体的には、1.東欧及びバルカン地域の民族問題は、諸大国の「狭間」という地政学が一つの要因となって生じた。2.この地の民族問題は、第一次世界大戦後に敷かれた国境線と民族分状況との乖離のなかで生まれた。3.欧州国際社会が少数民族問題に対処し始めたのは、主権国家からなる国際システムを導入したウェストファリア会議にまで遡り、同会議では主権国家の擬制性を克服するための一手段として宗教上のマイノリティー保護が謳われた。4.このマイノリティー保護の概念は1878年のベルリン会議へと引き肇がれていき、バルカン諸国の独立は少数民族の権利遵守を条件に認められた。5.深刻な少数民族問題を内包るに至ったヴェルサイユ体制は、国際連盟を軸とした少数民族保護システムを構築したが、国家主権原則の壁と弱なヴェルサイユ体制の中で機能不全に陥った。6.東欧及びバルカンの民族問題は冷戦後再び顕在化したが、すべてが武力紛争を惹起したわけではなく、バルトの「エスニック民主主義モデル」や中欧の「ハンガリー人問題解決モデル」のように相対的な安定性を確保した例も見られた。7.そこでは、ユーゴスラヴィア紛争という現実の国際政治を介して構築された欧州安全保障体制が、少なからぬ影響を及ぼしていた。同体制は、(1)少数民族問題を欧州安全保障上の問題と捉える価値観と、「領土保全と少数民族の権利保障」を一体とする原則、(2)OSCE,CoE(欧州審議会),EU,NATOからなる相互補完的な安全保障体制の制度化と、それらが展開する予防外交、(3)EUINATO拡大のコンディショナリティー効力、(4)「人道的介入」概念の導入とNATOによる強制力の行使、(5)復興のための国際分業協力体制、といった特徴からなる。
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