研究課題
基盤研究(C)
本研究は、日本外交政策決定過程における内閣官房の役割を分析するものである。近年、政策決定過程における内閣官房の役割が増大しているが、それは官房長官の地位の向上に象徴的に現れている。また、首相と巨大な官僚組織をつなぐ要の役割を果たす事務の官房副長官の役割も、2001年の橋本行革の結果著しく増大した。とくに、「人事検討会議」によって各省庁の幹部人事の人事権を内閣官房が得たことは、内閣官房と各省庁の力関係を大きく変えた。さらに、内閣法の改正によって政策主導権限が内閣官房に付与されることになった。とくに安全保障の面では、2001年テロ対策特措法、2003年の有事関連法、2003年のイラク特措法、2004年国民保護法などの有事関連法制、など、重要法案が内閣官房の主導で次々と立法化されようになった。これらの政策過程においては、従来のボトムアップの政策過程ではなく、内閣官房が主導権を握ったトップダウン型の政策過程がとられたことは特筆されるべきである。これまで、『官邸外交』(朝日選書2004年)やAsian Survey誌などで、この点について論文を発表し注目を集めてきた。これに加えて平成18年度においては、『冷戦後の日本外交』(ミネルヴァ書房)とKroizumi Diplomacy(Univ. of Washington Press)と二冊の著書を出版し、『国際問題』誌に「強化される外交リーダーシップ官邸主導体制の制度化へ」、『日本政治研究』誌に「日本の対外インテリジェンス・コミュニティ」という論文を発表した。さらに、3月24日には米国のアジア学会で、「安倍政権の外交スタイル」についてというタイトルで、最新の現象について研究発表を行うなど、非常に活発に研究成果を発表することができた。
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国際問題 558
ページ: 4-16
Kokusai Mondai No.558
日本政治研究 第3巻第2号
ページ: 92-111
Nihon Seiji Kenkyu Vol.3, No.2