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2004 年度 実績報告書

新古典派成長論的視角からのマルクス理論の数学化

研究課題

研究課題/領域番号 16530115
研究機関京都大学

研究代表者

大西 広  京都大学, 経済学研究科, 教授 (50176955)

研究分担者 松尾 匡  久留米大学, 経済学部, 教授 (70258383)
キーワード最適成長論 / 新古典派 / マルクス / 過剰蓄積 / 社会民主主義 / 労働組合主義 / 資本市場
研究概要

研究準備段階で確立された「新古典派成長論的マルクス・モデル」が導く最終期の最適資本労働比率を越えて資本蓄積が行き過ぎてしまうケースを「過剰蓄積」という概念として整理し、それが発生する条件を細かく調べる作業を本年度は中心的に行なった。具体的には、(1)社会構成員が貯蓄率の決定において合理的な判断能力がない場合、(2)ひとつの社会に異なる時間選好率をもつ複数の集団が存在する場合、(3)ひとつの社会内に時間選好率の格差がなくとも先に豊かとなった階級と後から続いている階級が存在し、その間で資本貸借が行なわれ、かつその貸借による追加的な生産の増分の全てが分析派マルクス主義の意味で前者の階級によって「搾取」される場合にそうした状況の発生することが分かった。また、もし社会がこうした「過剰蓄積」の問題を意識するのであれば、それを阻止するために社会がしうるいくつかの対応がある。(1)と(2)への対応は困難であるが、(3)については理論上から以下のいくつかの対応の可能性が示された。すなわち、国家による所得再分配という社会民主主義的方法、あるいは労働分配率を引き上げようとする労働組合主義的方法、および二階級の所有資本量を強制的に調整するマルクス的方法であるが、我々はさらに資本市場を通じた「先富階級」による売却を付け加えることができる。こうした非強制的方法のありうることを理論的に示せたことは研究の成果である。
なお、以上の成果は論文の形以外にも、国内や国際の会議やセミナーなどでも公表し、一層の研究のための多くの示唆を得た。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (6件)

  • [雑誌論文] 市場と資本主義の関係についての史的唯物論的理解について2005

    • 著者名/発表者名
      大西 広
    • 雑誌名

      季刊 経済理論 42巻1号

      ページ: 4-11

  • [雑誌論文] Market and Capitalism : A New Marxist Understanding2005

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Ohnishi
    • 雑誌名

      季刊 経済理論 42巻1号

      ページ: 63

  • [雑誌論文] 関干馬克思最優増長論的解釈-最優迂回生産程序的資本主義数学模型2005

    • 著者名/発表者名
      山下裕歩, 大西広, 茹仙古麗, 吾甫尓
    • 雑誌名

      海派経済学 (発表予定)

  • [雑誌論文] 市場与資本主義関係的歴史唯物主義分析2005

    • 著者名/発表者名
      大西広, 尹〓玉
    • 雑誌名

      政治経済学評論 (発表予定)

  • [雑誌論文] 技術と社会システムの関係についての理解を深めるために2005

    • 著者名/発表者名
      大西広
    • 雑誌名

      経済科学通信 107(発表予定)

  • [雑誌論文] 吉原直毅氏による「マルクスの基本定理」批判2004

    • 著者名/発表者名
      松尾 匡
    • 雑誌名

      季刊 経済理論 41巻1号

      ページ: 57-62

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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