研究課題/領域番号 |
16530124
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
瀬古 美喜 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (60120490)
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研究分担者 |
黒田 達朗 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (00183319)
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キーワード | パネル・データ / 個票 / 定期借家 / 借地借家法 / エラーコレクションモデル / 条件付きロジットモデル / サンプルセレクションバイアス / 公庫融資 |
研究概要 |
2000年3月に、旧借地借家法の弊害を改善する目的で、定期借家制度が創設された。それにより、持ち家、一般借家の他に、定期借家も、居住形態として、選択可能となった。この制度により、どのような家計が、恩恵を被ったかを分析することは、意義のあることである。条件付きロジットモデルを用いて、サンプルセレクションバイアスの修正も行い、パラメータを推定し、その結果を用いて、厚生分析(補償変分の計算)を行ったところ、特に、若年、低所得家計が、定期借家制度の創設により、恩恵を被っていることが、明らかになった。 ファミリー向けの大規模な借家の供給が促進されることが、定期借家制度の創設時の狙いであった。しかしながら、実際には、むしろ、若年、低所得家計向けの小規模な借家が、定期借家として、供給されていることが、わかる。今後は、制度創設時の狙いと異なる現状をどのように変えていくかが、課題となろう。 また、47都道府県の20年強にわたるパネルデータを用いて、住宅価格の変動分析を、エラーコレクションモデルに基づいて行ったところ、公庫からの融資割合が多く、したがって、民間からの借入割合が少ない県の方が、住宅価格の変動幅が小さいことが、判明した。すなわち、公庫融資割合が少なく、民間借入割合が多い県の方が、住宅価格の変動幅は大きいことが、明らかになった。公庫融資と、民間融資の融資条件の違いが、住宅価格変動に、異なる影響を及ぼしていることは、今後の、住宅金融のおり方を考える上でも、興味深い。
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