• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 研究成果報告書概要

経済学における生物学的方法の学説史的研究:スミス・マーシャル・ヴェブレンを中心に

研究課題

研究課題/領域番号 16530134
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 経済学説・経済思想
研究機関九州産業大学

研究代表者

高 哲男  九州産業大学, 経済学研究科, 教授 (90106790)

研究期間 (年度) 2004 – 2006
キーワードスミス / マーシャル / ヴェブレン / 経済学史 / 進化論 / 経済理論 / 進化経済学
研究概要

「本能」概念を中心としたアダム・スミスの人間本性論や科学方法論、社会的本能の概念を多用して進化を説明しようとしたチャールズ・ダーウィン、ダーウィンの影響の下に「生物学こそが経済学のメッカだ」と公言したマーシャル、さらに「進化論的経済学」を提唱したヴェブレンの制度進化論をそれぞれ学説史的に再検討した結果、おおよそ以下の事実が判明してきた。
人間理性の役割を強調する啓蒙期の哲学・科学革命の進展の中で、人間と他の動物との客観的な比較が始まり、単純な人間機械論は排除される。科学革命の中では、ニュートンに代表される物理科学と並んで、リンネやビュフォンに代表される生物学研究が大きく進展し、人間の科学的な理解への道が大きく開ける。「人間性」が客観的な科学の対象として議論し始めるからである。こうしてヒュームのように、人間行動を社会のなかで理解するという観点から科学的に捉えなおそうという試みが始まり、18世紀の末には、心理学という用語が登場するようになる。アダム・スミスの『道徳感情の理論』は、明らかにこのような傾向の中で生み出されたものだ。もちろん、啓蒙期の「自然神学」的な人間性の解釈を根底から覆したのは、ダーウィンの進化論とくに『人間の由来』である。自己保存という本能と集団の仲間に対する社会的本能、この二つの本能が社会的動物である人間を基本的に特徴付けているというダーウィンの主張は、マーシャルとヴェブレンによって受け止められる。もっともマーシャルの場合は、ダーウィンと比べてさえ、まだ伝統的な価値観に対して大きな譲歩がなされており、進化論をその経済学体系の基礎にすえることはできず、『経済学』の後半で生かしたに過ぎない。これに対してヴェブレンは、人間性がもつ社会的特徴を、とくに競争心という「社会的本能の発現」が制度進化のプロセスにおいてもつ役割として理解し、独自の進化論的経済学の基礎にすえたが、「利己心」つまり「自己保存」という側面については、十分な解明がなされなかった。その意味では、利己心と互恵的利他心とを理論の基礎に据えていたスミスが、現代から見てもっとも「進化論的」な経済学を展開していた、ということができるのである。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] アダム・スミスの本能論2006

    • 著者名/発表者名
      高 哲男
    • 雑誌名

      経済学史学会 大会報告集 2006 70回大会

      ページ: 24-29

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Veblen' s Theory of Evolution and the Instinct of Workmanship : An Ethological and Biological Reinterpretation2005

    • 著者名/発表者名
      Tetsuo Taka
    • 雑誌名

      The History of Economic Thought 47/2

      ページ: 32-44

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Veblen's Theory of Evolution and the Instinct of Workmanship : An Ethological and Biological reinterpretation2005

    • 著者名/発表者名
      Tetsuo Taka
    • 雑誌名

      The History of Economic Thought 47/2

      ページ: 32-44

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [図書] 20世紀の経済学の諸潮流 第一章 ヴェブレン-経済学の脱構築と進化論2006

    • 著者名/発表者名
      高 哲男
    • 総ページ数
      5-51(352)
    • 出版者
      日本経済評論社
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より

URL: 

公開日: 2008-05-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi