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2005 年度 実績報告書

徂徠学派以降の三倉論における経済社会安定化論と日本の経済政策思想の展開

研究課題

研究課題/領域番号 16530136
研究機関同志社大学

研究代表者

西岡 幹雄  同志社大学, 経済学部, 教授 (70172632)

キーワード「経済」の制度化 / 江戸後期における「厚生」経済 / 中井竹山の思想 / 常平倉論 / 社倉論
研究概要

江戸後期の「経済」思想の展開は,個々の徳の自覚と学習によるネットワーク的プロセスが制度枠組に先行すること,そして知識・行動のコントロールによるモラル的認知と世論とを活性化させることが,公共厚生のための制度設計とその波及効果につながることを標榜していた.というのは,これらの手段が人間本性の徳に働きかけ,非合理的行動が適応性をもつことを排除しておかなければ,あるいは政府だけでなく,民間においても,制度化に対する責任感が,互いに合意として生じなければ,信頼されるべき制度化として定着しないし,人々の厚生にとって共通なものとはなりえないからである.竹山の「常平」論にしても,その「社倉」論にしても,徳の拡大,安定持続性の下での「義利」の論理を共有しつつ,国体としての諸利と連携できる地域の発展を十分に普及させることができない地域社会では,社会的安全保障が「公共性」をモラルとリスクとの共有分担の仕組によって実現できるという,江戸期における厚生思想に行き着いたとみなしうる.
太宰春台から中井竹山にかけての「経済」思想の展開は,長期期待の下で社会意識を喚起しつつ,「公共」双方の利益をも内在させる仕組として,これ以降の「経済」思想へつながりを見いだすことができよう.しかし「義」と「利」の関係,およびこれを支えていた徳の自覚とこれにもとづく知識・行動に支えられた道徳的・協力的コミュニティが維持できないほどの時間的制約が迫り,そして合理性が狭小な方向に集約されたとき,制度設計による経済思想は,「厚生」をめぐる「公議」というフレームとして,再度,新たな段階の経済思想として再検討されるであろう.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 制度の安定化フレームと社会意識の活性化-中井竹山の「経済」学と常平・社倉論-2006

    • 著者名/発表者名
      西岡幹雄
    • 雑誌名

      経済学論叢 第57巻第4号

      ページ: 173-220

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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