計画初年度である平成16年度はデータの収集・推計とデータベースの構築がおもな課題であり、いくつか欠損部分が残っており、推計作業を続ける必要があるが、現時点で1952-2002年の中国の地域別(省・直轄市・自治区別)GDP、人口、就業者数、資本ストック、教育水準別人口などのデータを収集・推計し、データベース化した。次年度以降、これらをもとに地域ごとの成長モデルを構築していくが、16年度は収集したデータの一部を使い、地域間格差とともに大きな問題になっている、国有企業の余剰労働の問題についての分析を行った。 1950年代以降の国有(工業)企業部門の生産関数を推定し、労働の限界生産性と別途推計した実質賃金率を比較した結果、 1、国有企業部門は長期間にわたって余剰労働とは逆の、過少雇用の状態にあり、とくに文化大革命の時期はその程度が著しかったこと、 2、余剰労働が出現したのは1980年代末以降であること が明らかになった。また、 3、余剰労働の増加がきわめて急速に起こったこと も明らかになった。推定結果によれば、 4、余剰労働が出現したのは1989年であるが、わずか5年、1993年の時点で、就業者数に占める余剰人員は28.6%に達していた。
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