(1)タイ国内の地域別医療・保健関連データの収集およびパネル・データの作成 タイ国内を8地域(北部、東北部、中部、バンコック、バンコック周辺部、西部、東部、南部)に分け、各地域ごとに以下の各種医療・保健環境および経済環境を示すデータを収集した: (1)医療健康保険のカバー率、(2)各種医療保険の保険料、(3)人口動態(人口増加率、人口密度、年齢階層別人口構成)、(5)地域別成人死亡率、(6)地域別乳幼児死亡率、(7)地域別出生率、(8)死亡原因における主要疾患、(9)地域別病院施設数、(10)地域別病床数、(11)地域別医師数、(12)地域別看護士数、(13)地域別公衆健康予算額、(14)地域別生産額、(15)地域別事業所数、(16)地域別物価水準、(17)地域別就学率、(18)地域別・産業別雇用者数。 とりわけ、平成16年9月には上記データの収集が比較的困難である東北部の3都市(コンケーン、ロイエット、ウボーン・ラチャータニー)を訪れ、市役所および保健所などで各種データおよび指標を収集した。また農村地域における保健環境を視察するため、各都市の周辺に散在する農村において、チュラーロンコーン大学経済学部スタッフの協力を得ながら、各種健康・保健指標に関する調査を行った。また、タイ北部地方(チェンマイ、チェンライおよび周辺地域)におけるエイズの蔓延状況(患者数、死亡率全体に占める割合など)について、タイ開発研究所に既存の調査結果の英語訳の依頼をした。 (2)保健医療サービス供給の経済効果測定用地域計量モデルの構築 (1)タイにおける生産部門を近代部門と伝統的部門の2種類に分け、法定最低賃金以上の賃金を支払っている事業所全体を近代部門と定義し、事業所数と雇用量を要素投入とする生産関数を定式化した。この生産関数の定式化から誘導形として近代部門の雇用量に関する決定式を得ることが出来た。 (2)地域間の人口移動について、賃金格差、および就業機会と保健・医療サービスへのアクセスにより決定されるものとして人口の地域間配分関数を定式化した。 (3)保険・医療サービス供給というサービスの概念を想定し、それは医療施設で投入される2種類の労働サービス(医師による労働と看護士による労働サービス)および1種類の資本サービス(医療施設および病床)により産出されるものとし定式化を行った。
|