研究概要 |
近年、アジア地域においても、二国間、多国間の自由貿易協定締結への動き(アセアン諸国での関税の引き下げなど)、あるいはWTO加盟を契機として加速する中国を中心としたサプライチェーンの形成を踏まえ、現在各国でばらばらである物流政策を転換することが必要となっている。すなわち、これまでの国別のハブポート、ハブエアポート競争を乗り越え、アジアの中での共通物流政策として、効率的で環境にやさしい複合一貫輸送(インターモーダル輸送)の確立を目指すべき時にきている。 上記の問題意識に基づき、本年度は(1)EU、NAFTAでの物流政策、物流政策検討組織を検討すると共に、アジア各国の物流政策、物流政策検討組織との比較検討を行った。(2)また、文献調査、アジア諸国の物流政策担当者、アジア諸国に進出している日系企業(荷主及び物流事業者)へのインタビュー調査により、国際複合一貫輸送に関連する諸制度、物流システムの問題点を明確化した。 アジア各国の物流政策を見ると,いまだ,道路,港湾,空港など輸送手段別で,しかもインフラ整備に重点が置かれている。道路整備を重視している途上国も多い。また,国内の生産拠点から物流拠点までの輸送が着目されており,国際物流を評価する観点が薄いことなどが明らかになった。荷主の立場に立ちドアトゥドアの国際インターモーダル輸送を推進することの重要性を確認できたといえる なお、それらの成果は、後述する「アジアにおけるインターモーダル輸送政策」(海事産業研究所調査月報)、「中国における物流インフラ整備の課題」(高速道路と自動車)、「Intermodal logistics Policies in the EU, the U.S.and Japan」(運輸政策研究)などの論文として発表した。
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