近年、アジア地域においても、二国間、多国間の自由貿易協定締結への動き(アセアン諸国での関税の引き下げなど)、あるいはWTO加盟を契機として加速する中国を中心としたサプライチェーンの形成を踏まえ、現在各国でばらばらである物流政策を転換することが必要となっている。すなわち、これまでの国別のハブポート、ハブエアポート競争を乗り越え、アジアの中での共通物流政策として、効率的で環境にやさしい複合一貫輸送(インターモーダル輸送)の確立を目指すべき時にきている。 上記の問題意識に基づき、本年度は(1)(17年度からの継続として)アジア諸国に進出している日系企業(製造業(荷主)及び物流事業者(3PL事業者))へのインタビュー調査により、物流システムの問題点を明らかにし、(2)また、インターモーダル輸送と道路輸送の費用(外部費用を含む)を比較し、インターモーダル輸送がどのような条件で優位性を持つかを検討し、(3)3年間の成果をふまえ政策的なインプリケーションを導出するとともに、国際学会、国内学会に論文を発表した。 なお、道路費用の分析は"Cost Structure of Highway Building and Maintenance"として取りまとめた。また、道路輸送と比べた場合のインターモーダル輸送の費用優位性は"Intermodal Transport and City Logistics"に発表している。さらに、アジアにおけるインターモーダル輸送については"東南アジアにおけるインターモーダル輸送システムの構築"で論じた。
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