研究概要 |
平成17年度は,(1)ロシア企業を対象とした大規模アンケート調査の実施及び結果に関する中間報告書の出版,(2)ロシアの企業統治に関するサーベイ論文の発表及び同論文に依拠した研究報告,(3)ハンガリー企業の企業統治に関する現地調査の実施,(4)対ロシア外国直接投資(FDI)の地域分散に関する計量分析及びハンガリー年金基金の企業統治に関する実証研究の発表,の4点を重点に研究活動を行った。各点の概要は下記の通り。 1.ロシア連邦国立大学高等経済院と共同で,2005年2〜6月の5ヶ月間をかけて64連邦主体に所在する工業・通信業企業全859社に対してインタビュー調査を実施し,822社から有効回答を得た。同調査の実施概要とアンケート結果に関する中間報告を,Exploring Russian Corporationsと題する冊子体として出版した。同調査により,ロシア株式会社の内部組織構造や事業集団及び政府機関との関係が明らかになった。 2.ロシアの企業統治に関する先行研究200点強を対象にサーベイした結果を,「新世紀ロシアのコーポレート・ガバナンス」と題する論文としてまとめ『経済研究』誌上に発表した。そこでは,過去15年間に蓄積されたロシア企業統治研究の到達点と未だ十分に掘り下げられていない問題領域が解明された。また,その内容を,2005年7月にハンガリー科学アカデミー経済研究所が開催した国際ワークショップ,同年10月の一橋大学秋季公開講座などの場で報告した。 3.2005年7月・11月にハンガリーにて製造業企業への訪問調査や企業統治問題の専門家との意見交換を行った。 4.対ロシアFDIの地域分散決定要因を解明した共著論文を,Post-communist Economies誌に,ハンガリー年金基金の経営実績と統治メカニズムの関係に関する共著の実証研究を,Acta-Oeconomica誌にそれぞれ発表した。
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