研究目的:研究全体の目的は、過疎地域住民の様々な移動ニーズに対して公的移動手段が提供しているナショナルミニマム水準を明らかにし、地域の特徴を踏まえながら公的移動手段の効率的運行パターンを開発するすること、及び移動保障の実態とそのミニマム水準を明らかにすることであった。16年度実施した高知県下の移動保障の実態調査を踏まえ、17年度はスウェーデンの農山村地域を取り上げながら移動保障の実態や保障についての考察を行った。 18年度は、これまでの資料をまとめつつ、主に移動保障の国際的比較のため、スイスのポストバス及びスウエーデンの過疎局(Gles Bygds Verket)の現地及び聞き取り調査を実施した。また、高知県大豊町ではスクールバス混乗、乗り合いタクシーの調査を実施した。 スイスでは、スイス鉄道法に関する通達で住民への移動保障が示され、また、スウェーデンでは過疎に関する考え方の中に住民生活に不可欠の移動に関する考え方が具体的に述べられている。それぞれの国で歴史的経過を経て形成された移動保障に関する考えをふまえながら、効率的運行についての比較検討を行った。スイスでは民営化されるポストバスで、またスウェーデンと日本では既存の公的移動手段の組み合わせによる効率的運行の追求が特徴的である。
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