研究概要 |
国際河川における水配分の問題は、経済学的には、上流の水利用からなされる外部費用が、上流の最適水利用決定において考慮されない問題としてとらえられる。この間題に対処するために、流域間の協力が提唱されてきた。"An Ecological Implication of a Cooperative Water Resources Allocation in a River Basin"では、流域の協力が、流域全体の水使用総量についても減らす可能性があることを指摘した。その可能性を保証する条件は、各国の純便益関数の性質である。この関数がある性質を満たすとき、協力によって流域の水使用総量は減る。 "Non-point Source Pollution and the Second Best Taxation on Pesticide"では、農薬に対する課税を考察した。最適制御が不可能であるものとして、次善の税を扱っている。この研究では、農家は、農薬を扱う際のケアをすることで、汚染や生産性に影響を及ぼすことが出来るという状況を考慮している。研究では、ケアの生産と汚染に与える影響に応じての課税水準を導出している。また、最適・次善・レッセフェールにおける汚染水準も導出している。 つぎに、「点源・面源間の排出許可証取引について」では、点源と面源の2つの汚染源があるときの、両者での汚染許可証の最適取引率を考察している。現実の、点源・面源間の許可証取引での特徴は,点源・面源間での取引比率が1対1ではないことである。現在多くのプログラムにおいて点源面源間の取引は点源の排出1枠に対して,面源の排出2枠(あるいは3枠)を等価とする取引率が導入されている。本研究では、この取引比率が実は最適比率ではなく、実は1より小さいものでなければならないことを示している。
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