本研究の成果は、2つの論文にまとめられた。 1)"Price Discrimination of Digital Content" この論文は、消費者の需要に関して不完備情報化にある場合に、コピーを許すばあいと許さない場合のDRMによる価格戦略について考察した。最初に、一般的な状況で、コピーを許す財を購入する消費者と許さない財を購入する消費者が、二分されることを示した。次に、消費者の2タイプモデルを用いて、消費者のコピー費用が生産者の生産費用よりも低い場合にのみ、ヲンテンツ供給者にとってこのDRMが、通常の二部門料金の価格設定よりも高い利潤をもたらすこと、またDRMによつて社会的余剰も増加することを示した。 2)"Effects of Copy Control on Profits and Social Welfare under Unauthorized Copying : A Note" コンテンツ供給者は著作権侵害からコンテンツを守ろうとするが、駐車違反と同様に容易ではない。その場合に、単に著作権保護のみを考えるのではなく、違法ファイル共有の利用者にとっての取引費用も考慮に入れなければならない。この論文では、コピー・コントロールが供給者の違法コピーによる被害、および経済厚生を改善することができるのかを考察した。その結果をして、違法ファイル共有の取引費用の大きさによって、供給者に与える効果と社会的公正に与える効果が影響を受け、誘引両立的(供給者の被害を少なくし、かっ社会的な余剰を増やす)な取引費用の程度を明示的に求めた。
|