本年度は第一に日本人研究者の国際労働移動に関する実証研究を重点的に行った。特にアメリカが世界の頭脳を集めていることから、アメリカで就職もしくはポスドクという形で、国立研究所や大学で研究を行っている日本人研究者について、移住の動機、アメリカの研究(仕事)環境とその日本との比較、アメリカの生活環境とその日本との比較、日本との結びつき、帰国の意思や条件などに関するアンケート調査を行った。 第二に、アメリカやドイツについて、最近の外国人労働者政策と科学技術政策に関する資料を収集した。また、高度な知識を持った外国人労働者を多く受けいれているアメリカにおいて、彼らの流入が国内労働市場に与える影響や、彼らの受け入れをめぐる議論について調べた。 さらに、昨年行った日本で就業する外国人研究者・技術者に関する研究結果を3本の論文にまとめ、それぞれ学会発表(国内および国際)を行った。一つは日本における外国人研究者・技術者に対する需要を分析した論文である。二つめは外国人研究者・技術者の日本の研究環境、生活環境に関する満足度を分析し、外国人受け入れに必要な環境整備を提言した論文である。三つ目は外国人研究者・技術者の日本への移住のインセンティブを分析した論文である。
|