平成18年度は、平成16年度と17年度に行った研究に関する成果の発表と、中国人研究者・技術者の国際労働移動に関する研究を重点的に行った。第一に、成果の発表については、以下の通りである。 (1)雑誌論文4編(英文3編、和文1編)を投稿した。それらは、日本で就業している外国人研究者・技術者の国際労働移動のインセンティブ、彼らの帰国に影響を与える要因、日本における外国人研究者・技術者への需要、日本人研究者のアメリカへの流出に関する論文であり、うち1編は掲載が決定し、他の3編は審査中である。 (2)学会発表を2回行った。国際会議において、日本で就業する外国人研究者・技術者の定住に関する研究成果を発表し、また、国内の学会において日本の頭脳流出に関する研究成果を報告した。 (3)アンケート調査の報告書を作成し、調査協力者、学会関係者、政策策定者等に配布した。これは平成17年度に、アメリカで研究している日本人研究者に関して、渡米の動機、アメリカの研究環境や生活環境の満足度、日本とのインタラクション、帰国の計画などについて行ったアンケート調査の結果であり、日米の科学技術格差、アメリカの入国管理政策に関する報告も含んでいる。 第二に、中国はアメリカや日本に多くの研究者や技術者を送り出している国であるが、その留学促進策、帰国奨励策の内容とそれらの政策の背景や効果について資料を収集した。また、中国に出張し、海外に留学した経験のある研究者・技術者を対象に、海外へ移住した動機、海外での仕事内容や役割、海外における仕事や生活の満足度、帰国促進策の影響、帰国後のキャリアや役割などについてインタビュー調査を行った。
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