研究概要 |
今年度は7回の研究会を通じて本研究課題に関する問題点の抽出を行った。まず第1回目は,鷲津が日本および東アジア地域の産業構造の現状についての大まかな分析結果を報告した。すなわち,我が国の産業構造においてはサービス部門の重要性は増しているが,サービス部門の中でも個人向けサービスを中心に製造業との連携が比較的強いこと,アジア地域全体での工程間分業が完成しつつあることがアジア全域のスカイライン分析を通じて読みとれるとした。 第2回目は近藤氏によって,三角化をコンピューター計算によって行う方法について,過去の研究で開発された三角化のアルゴリズムの特徴を解析し,さらに独自に開発した手法について報告があった。 第3回目は慶應義塾大学・宮川幸三氏によって,中国の1997年地域間産業連関表の作成プロセスの説明とともに,推計結果を用いて(1)地域的な経済格差に起因する生産技術および生産構成の異質性,(2)地域間交易による波及効果について分析した結果が報告された。 第4回は立正大学・王氏によって,中国国内の地域間交易の特質について報告があった。宮川氏・王氏が中国について行った分析手法はアジア全域の相互依存関係を分析するための手法としてきわめて重要である。 第5回は日本総合研究所・竹内順子氏によって,自動車産業と電気機械産業について,東アジア地域における各国のこれまでの産業発展状況,域内外との貿易依存状況について報告があった。 第6回は浦田教授によって,「東アジアの地域統合がWTOの枠組みの中でどのような状況で進展しているのか,その中で今後の我が国の貿易戦略はどのようであるべきかについて報告があった。 第7回は,UFJ銀行エコノミスト古屋秀樹氏によって,月次ベースの長期(1973〜現在)までの鉱工業生産指数の変化率を,内需要因,輸出要因,輸入要因に要因分解する分析手法,および分析結果について報告があった。
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