研究概要 |
1.説明変数リストを変えながら様々なスペックの逐次選択モデルの最大尤度法推定を引き続き行った。女性全体サンプルを用い,非白人ダミー変数と他の説明変数との交差項を導入した。また,観察不可能な属性が標準正規分布に従うと仮定した。特に,婚姻暦の効果を見るために,現在の婚姻状態の存続期間,過去の婚姻状態の発生と存続期間をフレキシブルにコントロールした推定を行った。 2.パラメター推定値と分散共分散行列をもとに独身→独身,独身→同棲,独身→結婚,同棲→同棲,同棲→結婚,同棲→別離,結婚→結婚,結婚→離婚への各年間移行確率の予測値と標準誤差を計算した。説明変数の年間移行確率に対する限界効果を見るために,離散値をとる説明変数の値を中央値に,実数値をとる説明変数の値を平均値に設定し,説明変数の値を1つずつ変化させ,これらの計算を行った。また,人種・エスニックグループ間の差異,及び,年間移行確率の存続期間依存を見るために,人種・エスニックグループ×現婚姻状態の存続期間毎に以上の計算を行った。更に,モデルとスペック間の差異を見るために,全モデル×スペックについて以上の計算を行った。スペースが限られているので,これらの膨大な計算結果を詳細に報告することは避けるが,所得税が婚姻状態間の年間移行確率に対し微々たる効果しか持たないことが明らかになった。具体的には,どの人種・エスニックグループ,どの状態からどの状態への移行,どの現婚姻状態の存続期間に関して見ても,法的結婚下の所得税とそうでない場合の所得税の差がサンプルの10%値から90%値へと大幅に増加するときでさえ,年間移行確率が1パーセントポイント以上の統計学的に優位な変化を示すことはないことが明らかになった。これに対し,離婚法,宗教,子供の数などの人口経済学的変数は,相対的に大きく統計学的に優位な効果を持つことも明らかになった。
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