研究概要 |
本研究の計画・方法について,実施計画で挙げた今年度の課題は,次の3点である. (1)産業集積・産業クラスターの議論に関する理論的な検討. (2)米沢市の調査,本荘市,郡山市における次年度以降の調査研究のための予備調査を実施すること. 3)現地調査で得られた情報の整理と,次年度以降の調査研究に向けての課題抽出. これらの計画のうち,(1)については東京都での研究会に加えて,関連学会において情報収集を行った.また,その一部については,これまでの研究の成果を加えて「福島大学地域創造」に発表した. (2)(3)については,計画通り実施し,米沢市についてはその成果の中間報告を上述の通り公表した.そこで得られた成果の概要は以下の通りである. 現在,米沢市において展開している企業間ネットワークは,1980年初頭に形成された「電振協」「工業会」がその母胎となっており,当初は大量生産に対応するための,いわば「横並びのキャッチアップ」を実現するために重要な役割を果たしてきた.しかしながら,現在求められているイノベーションと新産業・新事業創出のためには既存の方法では限界を抱えており,さらに多様な主体を巻き込んだ「相互学習」に基づくネットワークが展開しつつある.そこでは,これまで支援主体として後景にあった市当局や商工会議所等が新たな役割を担いつつある.このような事例として「有機ELバレー構想」や「米沢BNO」の活動があり,新たな目的をもった企業間ネットワークとして注目される.これらのより踏み込んだ検討は,来年度以降の課題である.
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