研究課題/領域番号 |
16530179
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岡村 誠 広島大学, 大学院・社会科学研究科, 教授 (30177084)
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研究分担者 |
新海 哲哉 関西学院大学, 経済学部, 教授 (40206313)
田中 悟 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (20207096)
上田 良文 広島大学, 大学院・社会科学研究科, 教授 (50106788)
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キーワード | 補完的技術 / 消尽 / 技術開発 / 並行輸入 / 価格介入 |
研究概要 |
本年度は「11.研究発表」で述べた3編の論文を作成した。 第1論文「paralle Import, drug price control and pharmaceutical innovation」では並行輸入の問題を分析した。2国から成る貿易モデルを考え、2国間で医薬品が交易されている。2国市場において需要の価格弾力性が異なり、市場構造が独占であれば、第3種価格差別化が可能になる。この時並行輸入を行うインセンティブが発生し、この現象が企業のR&D投資に与える効果を分析する。両国の知的財産権制度が異なったことによって並行輸入が可能になったとする。もし外国政府の価格交渉力が強く、外国市場の価格弾力性が低ければ、製薬会社のR&D投資を促進し、外国の消費者余剰が上昇することを明にした。 第2論文ではブランダー・スペンサータイプの3国国際寡占貿易モデルを考えた。先進国企業が財の生産技術について先進国で特許権を保有する。途上国企業はこの特許を持たない。しかし、特許権の消尽のために途上国に立地生産する企業はこの特許権を持なくても生産が可能となる。又、途上国企業は特許権を侵害して生産することも可能であるが、これに対して、先進国企業は訴訟が可能である。本論文は以上のすべてを分析できる4ステージからなるゲームを定式化し、このゲームの完全ナッシュ均衡を求めた。このゲームは8タイプの均衡を持つことを示した。 第3論文では、同質財クールーノー競争を行う複占モデルを分析した。2企業のある特許権保有パターンに対して、完全補完的な2技術で、特許権の片務的、双務的契約の2つのケースを考えた。特許権侵害の訴訟費用、技術のイミテーション費用などをパラメータとしてモデルに導入した。この下で知的財産権の賦与パターンがナッシュ均衡における経済厚生に与える効果を分析した。知的財産権保護の程度が大きいほど独占になりやすく、その結果経済厚生が低下することを示した。
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