2005年4月に、フランスのパリにおいて、就労困難層の実態とその社会への参入支援事業について現地調査を実施した。訪問先は、行政機関として、イル・ド・フランス県貧困と社会的排除についての情報委員会:MIPES Ile-de-France (Mission d'Information sur la Pauvrete et l'Exclusion Sociale Ile-de-France)、さまざまな困難を抱えた人々への支援活動に従事する民間の支援組織、(1) Association Emmaus Paris、(2) Secours Catholique、(3) Les Coeur des Haltes、(4) Mission solidarite a la SNCFを聞き取り調査をした。また、就業困難者に対する職業参入支援のアソシエーションの連合体であるFNARS、le CNEIなどの機関においても聞き取り調査を実施した。 これらの聞き取り調査によって、就職困難層といっても多様な人々がいること、これらの人々に対するさまざまな支援プログラムが存在すること、ケースワーカーによる「付き添い活動」によるていねいな相談事業が実施されていることがわかった。しかし、だからといって問題がこれによってすべてうまく解決されつつあるとは言えないことが、明らかになった。 こうした現状の一部は、草稿「パリ、ホームレス生活者等の調査」としてまとめ、発表した(社会的排除とコミュニティケア研究会編『中間報告書 社会的排除をめぐる諸問題』2005年9月)。 以上のように、2年目にあたる2005年度は、よりいっそう深い現地調査を実施するとともに、この問題の困難な側面を知ることができた。最終年度である2006年度は、これらの調査データのとりまとめと、報告論文の作成を行う予定である。
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