本年度は研究の最終年度にあたり、その総括として、現地で補足調査として、若者の就労支援機関Mission Localcentre、参入最低限所得保障の給付機関Espaces-Insertion(Accueil et traitement des demandes de RMI)、ホームレス生活者の社会復帰支援相談機関Permanence sociale d'accueil、そして、7ヵ所の参入支援企業で、インタビュー調査を行った。 同時に社会的企業についての理論的研究の成果をサーベイするとともに、こうした取り組みの日本における取り組み状況についても合わせて調査を行った。社会的企業については、フランスをはじめ多くの欧州諸国でその形態に違いがあるとはいえ実施されており、それが有効に機能していることがわかった。とくにこれら欧州諸国の中にあって、フランスの特徴は、最低限所得保障とセットにして、しかも多様な困難にある人々に対し個別的な対応ができるようにメニューが豊富に存在していることであった。 日本においても、今後、就労困難層問題が深刻化することが予想されるが、それに対する施策・制度構築にあたって、フランスの参入支援企業は参考となる一つのモデルを提示できるだろう。フランスの研究者との意見交流もまた、今回は大いに参考となった。この研究の成果は、日本においては学術雑誌や学術書へ寄稿することで、市民社会への伝達広報につとめる。
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