研究課題
基盤研究(C)
ソシアル・キャピタルとは、「信頼」「社会ネットワーク」「互恵」といった現代社会における「関係性」を示す「財」(資源)である。本研究では、社会的共通資本の核心ともいうべきソシアル・キャピタルの形成が、都市・地域経済の再編・再生にもたらす影響について、理論・実証・政策の総合的視点から検討を行い、現下において直面する都市・地域課題の整理を行ったものである。第1章では、現下における都市・地域経済の転換の諸相について整理している。第2章は、かかる「転換」のなかでソシアル・キャピタルが果たす役割について検討を行っている。第3章・第4章では、台頭するコミュニティ・ビジネスに焦点をあて、その意義・役割について都市生活の新たな展開として整理を行い、かかる全体像をアンケート調査によって明らかにした。第5章では、中小企業経営におけるソシアル・キャピタルの役割について、そのネットワーク形成との関わりから検討を行い、産業発展という視点でのソシアル・キャピタルの重要性が確認された。第7章では、企業の「戦略的地域社会貢献」がソシアル・キャピタルを通して都市・地域経済に及ぼす影響について、アメリカでの経験について整理を行っている。第8章では、中小企業産業集積における「信頼」形成が都市・地域経済に及ぼす影響について、アンケート調査結果を踏まえて分析を行った。わが国中小企業集積は、経済連関における多層多重性に加え、信頼に基づく「非経済相互依存」の存在がある。しかし、近年の中小企業の存立基盤は、かかる「信頼」による連関性を喪失することで大きくゆらぎはじめている。わが国における都市・地域経済を検討するうえで、かかる中小零細企業群のあり方を、ソシアル・キャピタルの視点から再点検し、その新たな展開に向けた新たな「信頼」構造再建のための検討を行ったものである。第8章では、これまでの分析を踏まえ、「地域の再ネットワーク化」など、新たな地域デザインの重要性を指摘した。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (6件)
震災10年を踏まえたこれからの自然共生都市づくり展開方策の研究(平田富士雄編)
ページ: 9-12
A Study on the Development of Eco-City from the Lessons of Great Earth Quake Regeneration (ed.F.Hirata)
地域開発 483号
ページ: 50-55
岩波講座 都市の再生を考える 第4巻 都市経済と産業再生(植田和弘・神野直彦・西村幸夫・間宮陽介編)(岩波書店) (所収)
ページ: 69-99
Chiiki Kaihatsu No.483
Urban Economy and Regeneration of Industry, (eds.K.Ueda, etc.)(Iwanami Shyoten)