1.申請時の計画に示した通り、16年度は前期高齢者と後期高齢者の比較に配慮したうえで、日本における人口構造の高齢化、高齢者の所得・消費・貯蓄、高齢者の就業・世帯状況、高齢者の健康や生活不安、および医療・年金・介護・生活保護に関する高齢者政策などの実態にして、参考文献や電子媒体のデータなどを利用して問題点の洗い出しを行うことに重点を置いた。 2.データの収集と整理に関しては、日本全体の実態や変化だけではなく、地域別の相違や格差に関しても焦点を当てるように心がけた。例えば、今後の人口構造の変化に関しては、高齢化比率の水準とは別に変化率の面で、大都市圏と地方圏の間に相違があることが、地域別人口予側などで明らかにされている。実際、高齢化率の水準自体は、現段階では地方圏よりも大都市圏のほうが低いが、今後20〜30年をみると、東京圏などは全国平均をはるかに上回るスピードで高齢化が進展すると予測されている。社会保障政策などのあり方を研究する際には、高齢化の水準だけではなく、その変化率も重要となるため、データの整理段階からそうした諸点に配慮を行うように努めた。また、地域別の相違や比較をデータ面から整理しておくことは、高齢化率の変化が貯蓄率に与える影響を分析する際に、過去の時系列変化だけではなく、地域間の相違にも配慮したクロス的な解析も可能になるため、多様な視点からの比較分析行う際の準備作業としての意味も備えるものである。 3.日本のマクロ的な貯蓄率は、研究計画の申請時に予想しいたよりも、早いテンポで低下しはじめていることが最近のデータから明らかになっており、その理由に関して、後期高齢者の増加といった本研究の視点とは別の観点からの分析も行われ始めている。こうした先行研究を整理し、本研究の特徴を明らかにするために、マクロおよびミクロ経済学の両面から貯蓄理論や統計分析のサーベイに必要な文献の収集や整理も併せて行った。 (以上)
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