本研究は、水俣病発生原因企業チッソの企業の特質を労使関係の面から明らかにし、負の遺産としての水俣病事件の解明に社会科学から貢献することを課題とする。 本年度はまず、新日窒労働組合に保存されている組合結成(1950年)以降現在に至るまでの資料の整理収集、ならびに関係者からのヒアリングの実施を課題としていた。 6月および7月にかけて、労働組合並びに退職者の会(交友会)と資料の取扱等について協議を行った。その結果、組合解散の本年度末をもって、組合資料は熊本学園大学に寄贈すること、組合資料整理には、研究代表者の指揮の下で退職組合員が当たること等について合意を得た。 当初、組合事務所内作業室に、パソコン機器を設置し、データ入力をしながら資料の整理作業を行い、劣化しつつある資料に関しては、優先順位をつけてコピーをしていくとともに、高速イメージスキャナーを利用して画像として取り込むことにより、保存をはかるものとしていたが、資料の量が予想をはるかに超えて膨大であったこと(約3万点)、整理分類がほとんどされておらず、一点資料についてカード化する作業の前に、大分類をかけるとともに、母冊ごとの整理とカード化をすすめることとした。これらの作業には9月から着手した。 また、熊本学園大学が2005年度に水俣学現地研究センターを設置することが正式に決定され、本資料はセンターに移管されることが決定したため、整理がすすんだ文書から順々に、プラスティックコンテナーに分類していれていくこととした。コンテナーは年度末で重複文書30箱をあわせて280箱を越え、なお、作業継続中である。 これらの作業と並行して、組合関係者(チッソ社員並びに退職者など)や研究者からのヒアリングを実施し、運動史の記録を採録していくとともに、各個人が所蔵する資料や日記やメモ類の収集も進めた。ヒアリング記録はすべて録音されており、今後もまた継続していくものである。
|