研究概要 |
1.文献を収集し、担保主義、メインバンク制、株式持合い、BIS規制、信用保証制度、CAPM、トービンのq理論などの金融の諸理論に関する理解を深めるとともに、歴史的・制度的与件の変化が金融機関の行動にどのような影響を与えてきたかについて、これまでの研究を展望した。その大半が記述的分析であることから、理論的・計量的分析の必要性を認識した。その中でも、特に、今年度は「金融再生プログラム」がBIS規制下でいかなる効果を発揮したかを、理論・計量モデルを用いて検証し政策評価を行った。この結果は、Pacific Rim Economic Conference(Hong Kong Jan.2005)で報告し、現在雑誌に投稿中である。 2.他のトピックについては、その計量分析手段となる時変係数のVARモデルの理解をより一層深めた。この理解を論文にすべく、そのモデルを使って途上国の金融市場の効率性を検討した。その結果は市場効率性が時間とともに達成されてきていることを確認した。この論文は、WEA Conference(San Francisco, Jul.2005)に報告論文として投稿中である。さらに、このモデルを使って、金融機関の社会的コストが高度成長期の前・中・後そして金融不況期にいくらであったかを計測した。コストの生活費に占める大きさが近年急速に増大しつつあることから、金融制度改革の早急かつ重要性を再確認した。この論文は、WEA Conference(Vancouver, Jul.2004)とEAEA Conference(Hong Kong, Nov.2004)で報告された。
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