研究課題
基盤研究(C)
まず、国債先物のティック・データを用いて公開情報の影響を調べて効率性の検証を行った。結果は次のとおりである。OLSでマクロ経済指標公表の影響は収益率とボラティリティに対して半数以上が有意であり、かつ有意性は持続する。9時発表指標の収益率への影響は0.5時間持続するが、ボラティリティには2-3.5時間後まで、14時発表指標は収益率とボラティリティへ3.5時間続く。またボラティリティへの影響をGARCHモデルで分析したが、分散が半分戻るのに要する時間は1時間以上であることが多い。以上から市場が効率的であるとは見なせない。次に、日本国債先物のビッド・アスク・スプレッド、ボラティリティ、出来高のそれぞれのデータを用いて、マイクロストラクチャの観点から東証の国債先物市場の取引制度と価格形成の関係を分析した。得られた結果は以下の通りである。取引中断仮説では取引が再開された後、時間の経過につれてボラティリティなどは逓減するが、ボラティティのイントラデイの動きはこの仮説で説明できた。スプレッドと出来高は取引参加者の行動を考慮すると説明が可能となった。マクロ経済指標を用いると、ボラティリティと出来高のイントラデイの動きを説明できるが、スプレッドの説明は困難であった。最後に、東証とシンガポール取引所で取引されている日本国債先物の価格変動を分析することにより市場間比較を行った。両市場ともボラティリティにはU字型の動きが観察された。その要因は、板寄せとザラバの組み合わせではなく、むしろ情報の織り込みに時間がかかることであろう。取引コスト、流動性を測るビッド・アスク・スプレッドからは、SGXよりも東証の方が取引コストは小さく、流動性は高く、情報の非対称性は小さいとの結果が得られた。
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一橋商学論叢 Vol.1・No.2
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