研究課題
平成16年度においては、為替リスクと流動性の観点からアジア債券の表示通貨の選択について、米ドル、ユーロ、円と並んで、米ドルとユーロと円の通貨バスケットを想定して、実証分析を行った。アジア債券の表示通貨の選択に際しては、東アジア諸国の債券発行者と東アジア諸国及び欧米の投資家にとって、米ドル建てとユーロ建てと円建てと共通通貨バスケット建ての4種類の表示通貨の異なる債券の為替リスクと流動性の比較を行い、これらの4種類の表示通貨の異なる債券の間で為替リスクと流動性がそれぞれどのように異なるかを実証的に分析した。為替リスクについては、各通貨建て金利と為替相場のボラティリティを計算することによつて分析を行った。また、流動性については、債券市場や外国為替市場のビッド・アスク・スプレッドのデータから推計した。さらに、共通通貨バスケットを構成する通貨はドルと円とユーロとして、その構成比率は東アジア諸国の貿易ウェイトや、当該国がどれほど相手国との貿易に傾斜しているかを示す貿易集中度指数や、国際銀行融資などの国際貿易面及び国際金融面から計算して、設定した。さらに、アジア通貨建てのアジア・ボンド・ファンドの構想もあるので、これらの通貨バスケットの場合についても、為替リスクと流動性の両面から評価を加えた。これらの実証分析を進めると同時に、韓国やタイなどの政策当局者及び市場関係者と、これらの実証分析をまとめた論文に基づいて、議論を行い、本研究における実証分析の結果の現実妥当性を確認するとともに、本研究で見過ごしている他の問題の所在を明らかにした。一方で、アジア債券市場に関する国際コンファレンスやアカデミックな国際学会などで論文を発表し、実証分析の方法を精緻化しつつある。また、これらの研究成果をアカデミック・ジャーナルに投稿中である。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (3件)
一橋大学商学部ワーキング・ペーパー No.101
ページ: 1-31
Journal of Asian Economics Vol.15, Issue 4
ページ: 719-738
Hi-Stat Discussion Paper No.45
ページ: 42