研究課題
本研究は、平成16年度から平成17年度までの2年間の研究プロジェクトとして進められてきて、平成17年度は本研究の最終年度である。平成16年度に為替リスクと流動性の観点から行った様々な通貨建て債券の分析の結果(共通通貨バスケット建て債券が為替リスクの面でメリットがあっても、その市場が流動性の面で劣位にあること)を踏まえて、平成17年度においては、共通通貨バスケット建て債券市場の流動性をいかに高めるかについて、EUにおけるユーロ建て債券市場の流動性について分析を行い、ユーロ建て債券市場の経験をアジア債券市場に応用するよう、考察を深めた。1999年にユーロが導入されて、EUの証券市場において、とりわけ、流動性の面でどのような変化が発生したかを分析した。EU諸国の国債のビッド・アスク・スプレッドのデータを時系列的に分析することによって、ユーロが欧州債券市場に与えた影響を実証的に考察した。一方、ECU及びユーロが米ドルや円に対しては自由に変動している状況は、ドル・円・ユーロの共通通貨バスケットに東アジア諸国通貨を安定化させることによって同時に域内通貨間の為替相場の安定化を図ろうとする東アジアにおける共通通貨バスケットの目的とは異なる。両者の相違が、EU債券市場における為替リスクとアジア債券市場の為替リスクにどのような違いとして影響するかを分析した。これによって、為替リスクの観点から、東アジア諸国にとって域内通貨から構成されるEU型の共通通貨バスケットよりもドル・円・ユーロから構成される共通通貨バスケットの方が良いことが明らかとなった。
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計画行政 28・2
ページ: 9-16
Journal of Asian Economics 16
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New East Asian Regionalism : Causes, Progress and Country Perspectives, (eds by Charles Harvie, Fukunari Kimura, and Hyun-Hoon Lee, Edward Elgar, Cheltenham, UK)
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