研究課題
基盤研究(C)
本研究は、東西の自治体財政力格差の現段階を分析し、第二次連帯協定の終期の2019年に予定される対東部連邦補完交付金解消の実現可能性を検討することを課題とした。その成果は以下のように総括される。第一に、州間財政調整と連邦補充交付金を通じた東部州への一般財源移転の規模はなお増加傾向にあり、東部における担税力の弱さゆえに、完全にドイツ統一的な財政調整制度の導入にはまだ時間を要すると考えられる。それゆえ2020年以降、対東部財政移転の枠組みが完全に解消されるとは考えにくい。とはいえ第二に、第二次連帯協定の含意は、東西格差問題をその終期までに「格差一般」の問題へと解消していくことにある。その背景として、東部の先進地域の財政力は西部の貧困地域のそれに接近しつつあるという事情、また西部の構造弱体地域の社会経済問題も東部同様に放置できないという事情もある。例えば第二次連帯協定の第二バスケットに見られるプログラム補助金については、東部に焦点化したものから西部地域の構造弱体地域をも対象としたものに転換が図られてきていることにもそれは現れている。第三に、東部の高失業を背景に、05年から施行されたハルツIV改革が東部自治体により大きな財政負担をもたらす結果となった。これは分断の時代の負の遺産としての、東部の社会経済構造上の固有の問題にも規定されているが、この問題を放置すれば、長期的には東部の成長を阻害していく懸念もある。「社会都市」プログラムに見られるような、地域に根ざした都市再生の取り組みが、長期的にみれば東部地域の堅実な成長を支えていくのではないかと考えられる。
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