研究概要 |
平成16年度計画に従って,以下の研究を行った. 1)生命表の統計モデリング 将来死亡率の不確定性が年金財政に与えるリスク(いわゆる「長生きリスク」)の評価に向けて,将来死亡率の予測を行うための統計モデリングを考察した.特に,Lee-Carter法というノンパラメトリック法を拡張したボアソン双線形モデルを取り上げ,我が国の死亡数データに適用した.その成果は,小暮・長谷川「将来生命表の統計モデリング」(慶應義塾大学『総合政策学ワーキングペーパーシリーズ』,平成17年4月)及び,小暮「死亡率のモデリングと予測」(『統計』,平成17年3月号)にまとめた. 2)多変量リスク中立確率の推定 金融と保険が融合していく中で,変額年金のように複数の資産を原資産とする金融・保険商品の評価が求められている.今年度は特に,平均オプションやバスケットオプションのような複数の原資産価格に対するオプションを念頭に,共単調性(comonotonicity)という新たなリスク管理の概念の基礎研究を行った.その成果は,小暮「共単調性による多変量保険リスクの評価」(『リスクと保険』平成17年3月)に掲載された報告. 3)局所モーメント法によるノンパラメトリック法の開発 2005年3月に開催された国際研究集会「Nonparametric and Semiparametric Statisitcs」(統計数理研究所/京都大学経済研究所共催において,研究分担者の寒河江氏との共同成果を"Local Modeling for Pararnetric estimation"にまとめ,講演を行った.また,その成果の一部は,Sagae and Kogure,"Maximum Likelihood Estimation from Local Moments" (Proceedings on Joint Statistical Meetings 2004)に発表された.
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