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2005 年度 実績報告書

ナチス期統制経済における貯蓄銀行の意義と産業金融に関する史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 16530225
研究機関滋賀大学

研究代表者

三ツ石 郁夫  滋賀大学, 経済学部, 教授 (50174066)

キーワード貯蓄銀行 / ナチス / 金融市場 / 銀行 / 統制経済 / 中小企業 / 信用
研究概要

昨年度以来収集してきた史資料を分析することによって、ナチス期金融システムとそこにおける貯蓄銀行の役割、産業金融の問題について次の諸点を明らかにした。第一に、1933年1月ヒトラー政権掌握後に形成される金融システムは、ナチ党中間層グループの反金融資本イデオロギーとライヒスバンク総裁シャハトの大銀行利害の対抗のなかで、31年金融恐慌を再来させない現実的なシステムが構想され、それが1934年ライヒ信用制度法として結晶化したこと、第二に、貯蓄銀行はナチ思想とナチス金融システムに親和的な金融機関として、国民所得階層の貯蓄資金を政府資金需要のために集合する役割を果たし、その資金は結果として政府国債を通じて軍需部門へと流出したこと、第三にナチス期における貯蓄銀行の信用構造は大きく変化し、対物抵当信用、自治体信用、証券信用、対人信用は、それぞれ政府に有利に編成替えされた。そのなかで特徴的なことは、貯蓄資金の一部がおもに地域内の手工業や商業などの中小産業向け長短信用として貸し出されつつ、他方でライヒ国債とドイツ中央振替銀行を通じて軍需産業の資金需要を充足したことである。ナチス期の金融機関ではベルリン大銀行が重要な役割を果たしたことは、これまでの研究史で繰り返し指摘されてきたが、それだけでなく貯蓄銀行も重要な役割を果たしたことは、これまであまり注目されてこなかっただけに、本研究の成果として強調すべき点である。これらの内容は平成18年3月18日の戦時経済研究会で報告した。本研究のこれまでの成果をさらに高めるために、こうした貯蓄銀行の統制にライヒスバンクとライヒ経済省がいかに関わっていたか、また貯蓄銀行の上部機関である振替銀行組織と軍需産業がいかなる関係にあったかについて個別に実証することは、今後の研究課題として取り組む予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] ナチス政権成立期における金融思想の展開と金融システムの新形成-銀行制度調査委員会とライヒ信用制度法-2006

    • 著者名/発表者名
      三ツ石郁夫
    • 雑誌名

      彦根論叢 第358号

      ページ: 49-66

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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