1.資料の所在調査 資料調査については、当該期の鉄道業界団体である帝国鉄道協会の機関誌『帝国鉄道協会会報』、業界新聞『鉄道時報』、および許認可行政の実態が判明する『鉄道省文書』を中心に、検索・点検作業を行った。前者は、国立国会図書館、交通博物館、後者は国立公文書館、交通博物館(いずれも東京都千代田区)に分散所蔵されているため、数次にわたって東京への出張をおこなった。このほか、横浜開港資料館(横浜市中区)が所蔵する個人文書に含まれている鉄道関係資料についても、その内容について調査し、他の所蔵機関等では未見の資料を多数確認した。 2資料の収集 『鉄道省文書』の国立公文書館所蔵分については、さしあたり優先順位の高いものをマイクロフィルム撮影のオーダーによって収集した。次年度以降も継続して収集を進めたい。『帝国鉄道協会会報』、『鉄道時報』については量が膨大であるために検索作業が完了しておらず、本格的な収集作業は次年度へ持ち越さざるをえなかった。また、個人文書資料については、資料保全の関係で電子式複写(コピー)が認められないため、研究費で購入したデジタルカメラによる撮影を担当者と協議の上で準備中である。 3.研究の発表 以上のような資料調査・収集の成果は、別項の通りである。とりわけ、研究代表者の単著『浅野セメントの物流史』(立教大学出版会)をまとめるに際しては、書き下ろし部分(第6章)を中心に、限られた期間でありながら本研究の成果を生かすことができた。また、口頭発表であるが、鉄道史学会第22回大会の共通論題「鉄道企業家と地域産業」にパネリストとして参加し、「青梅鉄道における石灰石採掘事業の展開」を報告するとともに、標記テーマについてディスカッションをおこなった(12月12日、長岡大学産業経営学部)。
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