研究課題
基盤研究(C)
当該研究期間の研究は、貴重な一次資料の編纂事業を基礎に置いている。まず国民更生金庫・戦時金融金庫の内部資料を利用して、戦時期の企業整備政策と重要産業への特殊資金融資の実態を6巻の資料集としてまとめ、さらに戦時経済総動員資料の補遺4巻を刊行した。それらの資料分析から得られたは論点は、以下の通りである。(1)欧州大戦と対外関係の悪化を機に、優良設備への生産集中と劣等設備の廃棄が始まった。(2)企業整備を円滑に実施するため商・工業組合への組織化を進め、業界内の利害を調整した。(3)国民更生金庫を利用して転廃業者の資産処理に特別な優遇措置をとった。(4)残存業者による転廃業者への共助金の原資が国民更生金庫から融資された。(5)一般金融機関からの融資が困難な重要企業に対して、戦時金融金庫が出資引受、融資を行った。(6)戦時金融金庫の融資は、機密性が高い兵器や高いリスクを負った零細な機帆船運航会社など多岐にわたり、金庫がリスクを引き受けることによって一般金融市場のリスクを軽減していた。(7)国民更生金庫・戦時金融金庫ともに、経営は大幅な赤字を計上し、政府損失補償に依存する特殊機関であった。上記の(1)〜(4)については編著書である『戦時日本の経済再編成』にまとめた。また最終年度には、戦時金融金庫に関する(5)〜(7)について、ドラスティックな中小企業・流通再編を金融面から支えた国策機関の役割を解明した。
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すべて 雑誌論文 (5件)
東アジアにおける経済発展パターン(現代日本経済史研究会)
ページ: 15
Research Paper Series (首都大学東京社会科学研究科) NO.13
ページ: 114
Wartime Economy of Japan(Akira Hara, Shiro Yamazaki coedited)
same as the above
Research Paper Series(Tokyo Metropolitan University ) No.13