わが国の多国籍企業405社のうちの751社の海外製造業企業の子会社の標本を利用して、立地要因は子会社の設立と所有形態の選択に強い予測力を持つという仮説を検証している。欧州における日系企業では、受入国の競争力、受入国の文化形態、産業の成長率が進出形態の決定要因であること、合弁形態、完全買収、グリーンフィールド型の新規投資では異なった立地についての戦略を採用させていることを実証した。 国際合弁は現地企業の知識や資源へのアクセスを可能にするのみならず、第3者、特に現地の見込まれる顧客との組織間リンケージを構築することにより市場への進出を促進するのに有効であることを示している。東洋経済新報社の在日外資系企業総覧により1985年より1990年まで工場を日本に設立した外資系製造業企業の427合弁数X年数のデータをパネル分析により調べている。仮説検証型の研究であり、仮説として現地パートナーの知名度は合弁企業の市場参入に有意ではないが正の効果があり、現地企業の革新的成果は正で統計的に有意な効果が合弁企業に対してあり、現地企業が出資者であるのみならず合弁企業の現地顧客になるバックワード合弁は合弁企業の現地への参入へ正の有意な効果があることが指摘できた。 従来の研究では、伝統的な所有についての分類にもとづき、完全所有の子会社の方が合弁より収益性で優れているとしていた。そこで、本研究では非伝統的な進出形態の分類により、現地での経験のある日本企業同士の海外合弁のほうが完全子会社や伝統的な国際合弁の場合より優れた収益性を示していることを日系のブラジル企業102社について実証した。収益性のデータは、プラス、ゼロ、マイナスの3値データであるため順序つきロジット回帰分析を利用して分析を実施した。さらに、多国籍企業の所有の優位性と内部化の優位性は子会社の収益性に対しては混合した効果があることを示した。
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