1.今回の研究の結果、理論面の主たる成果は下記のとおりである。 1)個別リスクとマーケット・リスクの評価:紀要論文「マーケット・リスクおよび個別リスク」を発表し、両リスクの特徴、それぞれのリスク料とリスク調整割引率との関連、確実性等価との関連性を整理し、それぞれの評価方法を明確にした。 2)DCF法の評価:研究成果として、紀要論文「海外プロジェクトの評価について」を発表し、中国における海外投資等を例に、分散投資効果を統計的に検証し、投資家の形態(分散または集中投資家)に応じたリスクの相違点、および評価の違いを明らかにした。 3)デリバティブ評価:研究成果として、紀要論文「リアル・オプションによる長期販売契約および合弁契約の解約条件についての評価」を発表し、企業が長期契約を締結する際に、先物・先渡によるリスク転嫁策や、プット・オプションによるインシュアランス効果を明らかにし、合弁契約解約条件をB&Sモデルを活用し経済評価を行った。 2.日本企業の経営財務・企業評価等に関する実態調査の成果は下記のとおりである。 1)2005年度末、日本の上場企業に対し、経営戦略、財務政策、リスクマネジメント等に関するアンケート調査を実施し、上場企業の企業価値向上に関連した経営財務施策の現状・実態につき、調査結果を分析し、レポートを取り纏め、紀要論文を発表した。 2)同一のタイミングで、別途予算(岡山県経済同友会より研究助成)を受け、岡山県下企業に対し、アンケート調査を実施し、本科研費補助金に基づく、上場企業に対するアンケート結果と対比させることにより、地元企業の財務政策の特徴や課題を、より明確にすることが出来、報告書を取りまとめ、岡山経済同友会に報告した。 3.本研究期間中に開発した経営財務モデル(エクセルベース)は、今後、著書等を表わす際に、その活用を図ることとする。
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