研究課題
基盤研究(C)
本プロジェクトは企業組織ないし企業行動をどのように捉えれば現実の企業組織ないし企業行動に近いものになるかを考察することである。このとき、明確に存在する三つの視点を意識している。ひとつは企業組織をひとつの全体としての経済主体として捉える視点である。もうひとつは企業組織を個人という行為主体の集計された存在として捉える視点である。最後にこれら二つが交錯し統合しあう制度としての存在である。企業組織は制約された認知能力を持つ個人間の意図せざる相互作用の結果であり、それが、ひとつの制度的空間を持つとき企業組織となる。そして、この制度的空間は個人という行為主体の手を離れひとり擬態としてあたかも実体があるかのように振る舞う。機能主義と行為主義のこの二つの局面は制度という枠組みの中でしか説明がつかないものである。さらに、制度というとき、それは、文化、慣習、嗜好までも含む広義の意味を持つ。しかし、実際には、契約関係という明確な関係の中でしか捉えにくいものである。したがって、契約関係に分析の目が向きこの関係を説明するパラダイムの発展が促されている。しかし、実際には、制度を社会に供給する誘発を促した行為主体のことが背後にあることは忘れ去られている。制度は誘発され、継続され、変化させられるものであることを説明する枠組みが求められてしかるべきである。所与としての制度は、その枠組みの中で企業組織が行動を起こすことを前提とするのみで、企業組織を分析するパラダイムとしては一部を説明するのに好都合に設定されすぎている。そこで、本プロジェクトは次の三つの視点を持つパラダイムの提示をめざした。1.企業組織の行動、ないし、組織構成員の行動を契約関係のみならず、慣習、文化、嗜好等までも含む広義の意味での制度的視点からも考察できる分析枠組みを提示しようとした。2.企業組織は制約された認知能力を持つ行為主体の意図せざる相互作用の結果であり、それが、ひとつの制度的空間を持つと考え、相互作用する個人のレベルで制度を考察できる分析枠組みを提示しようとした。3.確立された制度としての企業組織ないし企業行動に対し、それが誘発され、持続し、そして、変動していく動的過程を考察できる分析的枠組みを提示しようとした。
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経済論叢(広島大学) 第29巻3号
ページ: 11-26
経済論叢(広島大学) 第30巻2号
ページ: 47-66
The Hiroshima Economic Review Vol.29, No.3
The Hiroshima Economic Review Vol.30, No.2
Chuokeizai-sha, Inc.
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経済論叢(広島大学) 第29巻2号
ページ: 41-61
The Hiroshima Economic Review Vol.29, No.2