研究概要 |
平成16年度は本研究の初年度として位置づけており,主に文献や論文の収集並びに研究と人事担当者等に対する面接調査を行い,諸外国の制度の研究,内外研究者の理論研究,および次年度に実施を予定している大量のアンケート調査の予備的な実態調査を行った。わが国では,平成11年度より旧労働省が仕事と家庭の両立支援を積極的に実施している企業に対し,ファミリーフレンドリー企業として表彰をしており,その施策については社会的な認識が認められ,企業の中にかなり浸透してきたことが伺えた。しかし,調査等からは,短中期的に具体的な目標数値を盛り込むことが義務づけられた,平成17年度4月に施行される次世代育成推進支援対策法に対する,企業の取り組みかたは比較的遅く,また,人事担当者の認識が希薄な企業も見受けられた。 一方,ヨーロッパ(フランス・ドイツ・イタリア・オランダ・ノルウェー)を中心とした諸外国の支援策は,たとえば育児に対する経済的支援として,出産休暇中は賃金の80〜100%の手当が支給され,子育てと仕事の両立支援として,出産休暇が14週から5ヶ月間付与され,出産時の父親休暇も2日〜2週間付与され,育児休暇制度は子供が3歳になるまで取得できる国と子供が8歳になるまでの間に取得できる国とがあった。その間,オランダでは無給ではあるが,フランスでは賃金補助が,ドイツでは育児手当が支給されるなど,何らかの補助や手当が支給されるのである。また,保育サービスとして集団託児施設が充実しており,ノルウェーでは対象乳幼児の66%が保育施設を利用している現状があった。
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